Sipka(シプカ)は「すべてのものには物語がある」をコンセプトに
身につける人が物語を感じるような アクセサリーをセレクトしたショップです。
作家が作品に込めた想いは ギャラリーのような店内で丁寧に紐解かれ、
手に取った人が自由な発想で装う事で 「物語」となり循環してゆきます。
作り手が託した幾つもの物語とともに、不思議なアクセサリーとの出会いがあなたを待っています。

 植田明志「虹の人」手拭い

 


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クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」で開催中の


「植田明志作品集刊行プロジェクト」。


プロジェクトスタートからわずか24時間で目標金額を達成した記念に


2つのリターンを新たにご用意致しております。


今回は新たなリターンのうち、「虹の人 手拭い」と


その元となった作品「虹の人」の物語を紹介致します。


 


 


植田明志「虹の人」手拭い


 


今回追加リターンの手拭いのデザインに採用されたのは


2016年開催の第3回個展「虹の跡」のメイン作品であり


フライヤーにも用いられた大型作品「虹の人」のドローイング。 


立体作品制作以前に描かれたドローイングを大胆にあしらった迫力のデザインです。


 


 今回のクラウドファンディングでしか手に入れる事が出来ない


貴重なアイテムとなりますのでお求め逃しなく!


 


 


植田明志「虹の人」 


 


様々な記憶の色の集合である"虹” 。


そして、その時、その場所に自分が確かに存在していたという証である"跡" 


をコンセプトにした大型作品「虹の人」。


個展「虹の跡」を象徴する作品であり、


今なお、高い人気を誇る作品です。 


 


 


植田明志「虹の人」 


 


幾重にも積み重なった街で形作られた身体。


風化し、朽ちかけた遺跡を想わせる身体の各部には 


植物が根をはり、胸部と腹部には"爪痕”を想わせる大きな穴があいています。


 


 


 


植田明志「虹の人」 


 


「虹の人」


 


その瞬間、僕は、虹をみた。


その虹はただ、そこに居た。


光と色が交差する。


 


この降り積もった記憶の山のてっぺんで、僕を待っていた。


地面はふわふわとした — 子供の頃に摘んで誰かにあげた花に、よく似ている。


— 真っ白い花に覆われて、足をくすぐった。


花の下の地面には、たくさんの足跡があった。


 


 


植田明志「虹の人」


 


 


僕は、この物語を知っていたよ。


沢山の跡をつけて。


僕は、確かにそこに居たんだよ。


涙は、音のない夕立のように、止めどなく流れ続けた。


 


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


 


 


いつからかこの山を歩いていた。


多分、そうだ。山に詳しい友人に、聞いたのだと思う。


その山では、雨が降らなくても虹が見えると、教えてくれたのだ。


「虹って、ふと現れて、消えていくだろう?


でも、心に残るんだ。俺は、それを不思議だと感じるんだ。」


確か、そんなことを言っていた気がする。


何故か、どうしても顔は思い出せなかったが、ロマンチックなやつだ。


 


 


 


植田明志「虹の人」 


 


 


思えば、もうしばらく、虹を見ていなかった。


雨が降れば、外には出なくなったし、


コンクリートに染み込んだ、夕立の匂いも嗅がなくなった。


そもそも、子供の頃も、あまり虹を見た覚えはなかった。


ずっと部屋の隅で、様々な色のクレヨンで、何か描いていた気がする。


何を描いていたっけ?


 


 


気づくと、何時しかあたりは真っ黒になり、空に浮かぶ月も頼りなかった。


山肌は、不規則にぼこぼことしていたが、それなりに舗装されており、


歩いてきた道を見ると、たくさんの足跡があった。


とても大きな動物のもの。


子供のもの。


そして、僕の足跡は、そのどれかに混ざってわからなくなっていた。


 


 


僕は、何時からここにいるのか、わからなくなっていた。


どうやったら、そこに居たことにになるのか、術を知らなかった。


僕は、自分の足跡の形すら、覚えていなかった。


 


この山では、たびたび、不思議なことが起こった。


歩いているうち、たまに、ふっと気配を感じて、


暗い崖のほうへ目をやると、子供がいるのだ。


その子供たちは例外なく、奈落の闇にぽっかりと頭だけをだした、


どうやってもそこには辿りつけないような岩の上にいた。


 


彼らは、本当に小さく、ささやくような声で、歌っていた。


僕が声をかけても、何の反応もしなかった。


きっと、彼らの世界には、僕はいないのだと、思った。


 


 


 


植田明志「虹の人」


 


 


山の中腹あたりに差し掛かると、街が見えた。


その街は、ずっと燃えていた。きっと夕焼けがあそこで眠っているのだ。


僕の家も、燃えているのが見えた。多分、あれだと思う。


山の飛行機が、その街に落ちていくのが見えた。


飛行機は、燃え尽きる瞬間に、流星になれた。


夕焼けは、大きな生き物となって、世界を燃やし尽くしてしまってしまうのだと思った。


そしていつしか、さらに大きな夜が、そんな世界を飲み込んでしまうのだ。


 


 


世界は、真っ暗になって、夜の優しさに気付くのだろう。


ふと夜空を見上げると、月が山肌に、さなぎみたいにくっついて眠っていた。


そういえば、僕は約束をしていたことを思い出した。


誰かと会う約束だった。この山の頂上で。


 


 


 


植田明志「虹の人」


 


僕は走った。夏が終わったばかりの山は、肌寒かった。


途中で、公園が見えた。遊具はみな闇の中で、


怪獣の骨みたいな体を、白く光らせて眠っていた。


怪獣の骨にはたくさんの子供たちが遊んでいた。


まるで、獲物に群がるたくさんの蟻のようだった。


 


 


息が切れる。


山はますます黒々としていった。


山肌には様々な種類の鉱石がむき出しになっているらしく、


星みたいにきらきら光った。


まるで、宇宙の彼方を走っているようだった。


心臓が張り裂けそうなくらいの全力疾走。


星が、次々と流れていく。


この暗闇は、僕をどこへ連れて行ってくれるのだろう。


たまに突き出た星たちで、体を少しずつ切った。


生暖かい感触が伝わる。少し深い傷もあるようだった。


 


 


頂上に着いたときには、すっかり月のさなぎはからっぽになっていた。


きっとさなぎの中の海は、宇宙に還っていったのだと思った。


今頃、さなぎの下ではその外皮で作る舟のために、たくさんの舟人で溢れているだろう。


山のここは、真っ白だった。


きっと、地面から無数に生えている白いぽわぽわした植物のせいだ。


それに、風に吹かれなかった植物の綿毛が、埃のように真っ白に地面を覆っていた。


下のほうが、少し茶色く、複雑に濁っているのも見えた。


 


 


 


植田明志「虹の人」 


 


 


声が聞こえて、振り向くと、君がいた。


何か小さく呟いた。それきり、何も話さなくなった。


二人で、地面に寝転んで、星空をみた。


星座を教えようとしたが、僕の知ってる星の位置とは、少しずつ違っていた。


 


僕が声をかけようと横を見ると、彼女は真っ白になっていた。


彼女の身体からは無数の白い植物が、


空にむかって生えていて、人の輪郭を失っていた。


鉱石に引っ掛かってできた傷も、白くぽわぽわしていた。


 


 


 


植田明志「虹の人」 


 


 


僕はどうしようなく泣きたくなった。


泣いてしまえば、きっと楽なのに、


鼻が冬の朝のように、少しツンとするだけだった。


涙を堪えようと、地面に顔を伏せた。


綿毛がふわふわと迎えてくれた。


ふと、綿毛の隙間に何かが見えた。はっとした。


無我夢中で、降り積もった埃振りを払う。


 


 


見えたのは、無数の足跡。


はっとしたその瞬間には、もう涙は溢れていた。


闇の中でひとりぼっちの怪獣のように、わんわん泣いた。


 


 


 


 


植田明志「虹の人」 


 


 


夕立ちみたいな涙のせいで、景色は夏のプールの様に光り輝いて、揺らめいていた。


地面は様々な色が重なりあっていた。


それは、全部僕が知っている色だった。


僕だけが、知っている色だった。


揺らめく景色のせいで、様々な色が複雑に絡まり合った。


 


 


その瞬間、僕は、虹をみた。


 


 


 


 


植田明志作品集刊行プロジェクト


  


【植田明志作品集刊行プロジェクト】


2017年4月19日(水)〜6月19日(月)


クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」の


特設ページは、以下のリンク↓からご覧頂けます。


 


植田明志作品集刊行プロジェクト@CAMPFIRE


 


 


 


 


 

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