Sipka(シプカ)は「すべてのものには物語がある」をコンセプトに
身につける人が物語を感じるような アクセサリーをセレクトしたショップです。
作家が作品に込めた想いは ギャラリーのような店内で丁寧に紐解かれ、
手に取った人が自由な発想で装う事で 「物語」となり循環してゆきます。
作り手が託した幾つもの物語とともに、不思議なアクセサリーとの出会いがあなたを待っています。

 植田明志「虹の人」と「虹を歌う子ども」。

植田明志のオブジェ「虹の人」


 


 


 


僕らが生まれる前、宇宙が生まれる前、


風は吹いていたのだろうか。


 


僕らが死んだ後、誰もいなくなった地球にも


音楽はあるのだろうか。


 


 


 


 植田明志個展「虹の跡」好評開催中です。


作品は既にほぼ完売状態となってしまっておりますが


Sipkaブログでは作品と、その物語をこちらで紹介していきます。


今回は個展のメインヴィジュアルにも用いられている大型作品


「虹の人」と、虹の人に付き従う「虹を歌う子ども」たちを紹介致します。


 


 


 


植田明志のオブジェ「虹の人」 


植田明志「虹の人」


 


様々な記憶の色の集合である"虹” 。


そして、その時、その場所に自分が確かに存在していたという証である"跡" 


今展示のコンセプトでもあるテーマを表現した大型作品です。


 


 


 


植田明志のオブジェ「虹の人」


 


 


幾重にも積み重なった街で形作られた身体。


風化し朽ちかけた遺跡を想わせる身体の各部には、植物が根をはり


胸部と腹部には"爪痕”を想わせる大きな穴があいています。


 


 


 


植田明志のオブジェ「虹を歌う子ども」 


 


 


「虹の跡」の物語の舞台である、記憶が降り積もった山で、


"虹の人" の為に歌う子供たちを表現した小作品


「虹を歌う子ども」たち。


 


 


それぞれ、「アルト(夜)」「ソプラノ(朝)」「テノール(夕焼け)」


と名付けられた三人の「虹を歌う子ども」たちは、


頭に折り紙で作った帽子を被り、


静かに目を閉じ、胸に手を当てて祈るように歌っています。


 


 


 


 


 


 


植田明志のオブジェ「虹の人」 


 


 


「虹の人」


 


その瞬間、僕は、虹をみた。


その虹はただ、そこに居た。


光と色が交差する。


 


 


この降り積もった記憶の山のてっぺんで、僕を待っていた。


地面はふわふわとした — 子供の頃に摘んで誰かにあげた花に、よく似ている。


— 真っ白い花に覆われて、足をくすぐった。


花の下の地面には、たくさんの足跡があった。


 


 


 


 


植田明志のオブジェ「虹の人」 


 


 


僕は、この物語を知っていたよ。


沢山の跡をつけて。


僕は、確かにそこに居たんだよ。


涙は、音のない夕立のように、止めどなく流れ続けた。


 


 


 


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


 


 


 


いつからかこの山を歩いていた。


多分、そうだ。山に詳しい友人に、聞いたのだと思う。


その山では、雨が降らなくても虹が見えると、教えてくれたのだ。


「虹って、ふと現れて、消えていくだろう?


でも、心に残るんだ。俺は、それを不思議だと感じるんだ。」


確か、そんなことを言っていた気がする。


何故か、どうしても顔は思い出せなかったが、ロマンチックなやつだ。


 


 


 


 


植田明志のオブジェ「虹の人」 


 


 


思えば、もうしばらく、虹を見ていなかった。


雨が降れば、外には出なくなったし、


コンクリートに染み込んだ、夕立の匂いも嗅がなくなった。


そもそも、子供の頃も、あまり虹を見た覚えはなかった


っと部屋の隅で、様々な色のクレヨンで、何か描いていた気がする。何を描いていたっけ?


 


 


 


気づくと、何時しかあたりは真っ黒になり、空に浮かぶ月も頼りなかった。


山肌は、不規則にぼこぼことしていたが、それなりに舗装されており、


歩いてきた道を見ると、たくさんの足跡があった。


とても大きな動物のもの。


子供のもの。


そして、僕の足跡は、そのどれかに混ざってわからなくなっていた。


 


 


 


 


 


 


 


僕は、何時からここにいるのか、わからなくなっていた。


どうやったら、そこに居たことにになるのか、術を知らなかった。


僕は、自分の足跡の形すら、覚えていなかった。


 


 


 


 


植田明志のオブジェ「虹を歌う子ども」の写真 


 


 


この山では、たびたび、不思議なことが起こった。


歩いているうち、たまに、ふっと気配を感じて、


暗い崖のほうへ目をやると、子供がいるのだ。


その子供たちは例外なく、奈落の闇にぽっかりと頭だけをだした


どうやってもそこには辿りつけないような岩の上にいた。


 


 


 


植田明志のオブジェ「虹を歌う子ども」の写真 


 


彼らは、本当に小さく、ささやくような声で、歌っていた。


僕が声をかけても、何の反応もしなかった。


きっと、彼らの世界には、僕はいないのだと、思った。


 


 


 


山の中腹あたりに差し掛かると、街が見えた。


その街は、ずっと燃えていた。


きっと夕焼けがあそこで眠っているのだ。


僕の家も、燃えているのが見えた。多分、あれだと思う。


山の飛行機が、その街に落ちていくのが見えた。


飛行機は、燃え尽きる瞬間に、流星になれた。


夕焼けは、大きな生き物となって、世界を燃やし尽くしてしまってしまうのだと思った。


そしていつしか、さらに大きな夜が、そんな世界を飲み込んでしまうのだ。


 


 


 


 


植田明志のオブジェ「虹を歌う子ども」 


 


世界は、真っ暗になって、夜の優しさに気付くのだろう。


ふと夜空を見上げると、月が山肌に、さなぎみたいにくっついて眠っていた。


そういえば、僕は約束をしていたことを思い出した。


誰かと会う約束だった。この山の頂上で。


 


 


 


僕は走った。


夏が終わったばかりの山は、肌寒かった。


途中で、公園が見えた。


遊具はみな闇の中で、怪獣の骨みたいな体を、白く光らせて眠っていた。


怪獣の骨にはたくさんの子供たちが遊んでいた。


まるで、獲物に群がるたくさんの蟻のようだった。


 


 


息が切れる。


山はますます黒々としていった。


山肌には様々な種類の鉱石がむき出しになっているらしく、星みたいにきらきら光った。


まるで、宇宙の彼方を走っているようだった。


心臓が張り裂けそうなくらいの全力疾走。


星が、次々と流れていく。


この暗闇は、僕をどこへ連れて行ってくれるのだろう。


たまに突き出た星たちで、体を少しずつ切った。


生暖かい感触が伝わる。少し深い傷もあるようだった。


 


 


 


頂上に着いたときには、すっかり月のさなぎはからっぽになっていた。


きっとさなぎの中の海は、宇宙に還っていったのだと思った


今頃、さなぎの下ではその外皮で作る舟のために、たくさんの舟人で溢れているだろう。


山のここは、真っ白だった。


きっと、地面から無数に生えている白いぽわぽわした植物のせいだ。


それに、風に吹かれなかった植物の綿毛が、埃のように真っ白に地面を覆っていた


下のほうが、少し茶色く、複雑に濁っているのも見えた。


 


 


 


 


植田明志のオブジェ「虹の人」 


 


 


声が聞こえて、振り向くと、君がいた。


何か小さく呟いた。それきり、何も話さなくなった。


二人で、地面に寝転んで、星空をみた。


星座を教えようとしたが、


僕の知ってる星の位置とは、少しずつ違っていた。


 


 


僕が声をかけようと横を見ると、彼女は真っ白になっていた。


彼女の身体からは無数の白い植物が、空にむかって生えていて、人の輪郭を失っていた。


鉱石に引っ掛かってできた傷も、白くぽわぽわしていた。


 


 


 


 


植田明志のオブジェ「虹の人」 


 


 


僕はどうしようなく泣きたくなった。


泣いてしまえば、きっと楽なのに、


鼻が冬の朝のように、少しツンとするだけだった。


涙を堪えようと、地面に顔を伏せた。綿毛がふわふわと迎えてくれた。


ふと、綿毛の隙間に何かが見えた。はっとした。


無我夢中で、降り積もった埃を振り払う。


 


 


 


見えたのは、無数の足跡。


はっとしたその瞬間には、もう涙は溢れていた。


闇の中でひとりぼっちの怪獣のように、わんわん泣いた。


 


 


 


 


植田明志のオブジェ「虹の人」 


 


 


夕立ちみたいな涙のせいで、


景色は夏のプールの様に光り輝いて、揺らめいていた。


地面は様々な色が重なりあっていた


それは、全部僕が知っている色だった。


僕だけが、知っている色だった。


 


 


揺らめく景色のせいで、様々な色が複雑に絡まり合った。


 


 


 


その瞬間、僕は、虹をみた。


 


 


 


 


 


 


植田明志個展「虹の跡」 


植田明志 個展「虹の跡」


2016年10月3日(月)〜11月16日(日)


愛知県名古屋市中区大須二丁目14番地3号エビスビル2F


※地下鉄鶴舞線 大須観音駅 1.2番出口より徒歩5分  


 


 


 


 


 


 


 

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