植田明志「スピカの歌」
植田明志個展「遠すぎるパレード」会期途中で追加された新作3点のうちのひとつ。
個展のメインヴィジュアルにも用いられれている「ファンタジアの車」と
共通するコンセプトを持つ作品「スピカの歌」を紹介致します。
遠すぎるパレード」の物語世界に於いて
始まりと終わりを象徴する卵〜コズミックエッグをイメージした作品「スピカの歌」。
キャラクター "テイテイ”たちが大事そうに運んでいる金色の卵。
割れた卵からは碧い色をした記憶の結晶が溢れだし、
その中から双子の子供が生まれてきています。
今展示で制作された作品にも度々登場する"テイテイ”たち 。
アイデンティティーの象徴であるキャラクター "テイテイ” たちは
宇宙を想わせる青い体色に外骨格が変化したレースのような首飾りをしています。
テイテイたちは地面に足が着くと死んでしまう為、
様々な乗り物に乗って移動をしていますが
「スピカの歌」の卵を抱えた二人のテイテイたちは
足にローラースケートを履いて白い星のパレードを進んでいきます。
2つの恒星が両者の重心の周りを軌道運動している天体「連星(binary star)」
双子星ともよばれる連星を象徴するように、寄り添う二人の子供が
碧い記憶の結晶の海から具現化しています。
極彩色に彩られた歯車を想わせる2枚の翼。
大きな翼の内側の背部に当たる部分にも、大小様々な歯車が犇めくように造形されています。
翼は双子の子供たちの背中からそれぞれ一枚づつ生えており、
二人で一対の翼を形成しています。
ドローイングで描かれた「スピカの歌」のイメージ。
立体作品でテイテイたちが運んでいるコズミックエッグが孵化する前の状態が描かれており
その両脇で二人のテイテイたちが心配そうに卵を見上げています。
「スピカの歌」
僕とあなたの歌は、あなたと僕の歌は、どこまで届いているのでしょうか。
きっとこの卵が孵化するとき、誰かが救われるのだと思います。
だから僕ら、運ばなきゃねぇ。
どこまでも、いつまでも、いつかを想って。
卵に描かれた宇宙の法則は、僕らには解りません。
でも、きっと双子なんだろうなぁ。というのは、なんとなく解りました。
だって。微かに、遠くで二人分の声が聞こえてくるんですもの。
それは本当に遥か遠くの、連星から聴こえてくるように思えました。
その声は徐々に大きくなり、歌を歌っているのだと解りました。
もう、はやく運ばなきゃね。
誰かが、誰かの手を握り締めるときに、きっとこの卵が孵ります。
今、あなた達の歌は、どこまで届いているかわからないけれど
僕らには、聴こえているよ。
【植田明志個展 作家在店日のお知らせ】
現在個展「遠すぎるパレードを開催中の作家・植田明志がSipkaに在店致します。
・11月24日(月) 14時〜20時
・11月26日(水)14時〜20時
・11月28日(金)14時〜20時
・11月29日(土)13時〜20時
・11月30日(日)13時〜20時
作家自身から作品のコンセプトや制作秘話などをお聞き頂ける貴重な機会です。
お時間ございましたら是非お立ち寄り下さい。
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