植田明志の山の精霊たち
深い山や森に入り込んだ時にふと感じる気配のようなもの〜
古来より信仰の対象とされ、畏怖されてきた、
山々の精霊や妖怪のような目に見えぬ存在に姿・形を与えて具現化した
通称 “山人(やまと)”と呼ばれるオブジェ作品群。
現在開催中の個展「遠すぎるパレード」でも “山人” の新作たちが制作されました。
今回は植田明志の代表作でもある様々な "山人" たち、
そしてその亜種であり、山人と共生関係にある虫型山人「童蟲(どうむ)」たちを紹介致します。
山や森がそのまま生命を持って動き出したかのような山人たち。
現在までに発表されてきた様々な山人たちは、
老人のような顔に身体を覆う樹々などの共通頃がありながらも
それぞれバラエティ豊かな姿、形をしています。
豊田市足助町で開催されたアートイベント「足助ゴエンナーレ」で展示され
後に個展での展示に加わった新作の山人、「記守(キモリ)」。
ヤモリを想わせる姿をした山人「記守」。
長く伸びた身体は苔に覆われており
その身体は枯木と見紛うような風合いとなっています。
苔型の山人「コケダマボウズ」たち。
それぞれに個性があり、大きさや顔の表情なども異なります。
ずらりと並んだ「コケダマボウズ」たち。
植木鉢から苔玉のように生えた「コケダマボウズ」たちは
瞑想するように目を閉じて静かに佇んでいます。
個展で展示中の山人たちの中でも最大級の作品「月の人」。
通称 "山王人” と呼ばれるこの作品は、
植田明志の初期の代表作である "大山人"こと
スタンダードな山人像が造形された作品となっています。
記憶を巡る旅。
その森は月を想う。
月と森が共鳴し合う。
共鳴は記憶を呼び覚まし、森を淡く照らす。
滲むように彼らはただ存在し、月を見上げ、光を食む。
そこは深い深い静かな、記憶が実る月の森。
その森では、彼らが静かに存在し、月を見上げる。
山人たちと共生関係にある "童蟲(どうむ)" と名付けられた虫型の立体作品のシリーズ。
童蟲のうちの一種「ヤマノテング」の幼虫形態。
老人のような顔や、樹木の生い茂る森のような体表のディティール等
"山人" 達との共通項が見られます。
作品には木箱が付属。
中には山苔が詰められており作品を収めてディスプレイして頂けます。
幼虫から成虫へと変態を遂げる途中のサナギ形態。
「ヤマノテング(幼虫)」同様に、作品には木箱が付属。
木箱の蓋内側には作家肉筆による「童蟲の蛹」が描かれており、
古びた木箱の質感も相俟って本草学的な佇まいを感じさせるものとなっています。
彼ら 童蟲(どうむ)は、山人が食べた記憶の実のメモリー内の「記憶」の
消化しきれない「記憶」を食べてくれ、山人と童蟲は共生の関係にある
しかし、彼ら童蟲がどこからやってきて、
どのように子孫を残しているかは全くの未知である。
彼らは食べた「記憶」の質や内容で、成虫になる際、様々な形態になると言われているが、
そのパターンは非常に多彩で、一丸に断定できないものがある。
植田明志個展「遠すぎるパレード」会期中(〜2014年11月30日)
今回ご紹介した山人系の作品をお買い上げの方に
写真の「童蟲のサナギ」を1点プレゼントしております。
※ 種類はお選び頂けませんのでご了承下さい。
|