植田明志「宇虫」
"記憶"をテーマに、ある種のノスタルジーを感じさせる世界を表現する
造形作家・植田明志(うえだあきし)。
先日発表され、好評を博した「砂場の宝石」シリーズに続く新作オブジェ。
「宇虫(うちゅう)」と題された作品を紹介致します。
オリジナルの台座付き小作品「宇虫」。
オブジェ本体は、台座から伸びた真鍮線スタンドに引っ掛けて飾って頂けます。
そのタイトルの通り、宇宙を漂っているようにも
または深海に佇んでいるようにも見える不思議な作品となっています。
植田作品の特徴のひとつでもある老人のような顔に、昆虫の幼虫のような身体。
その上半身は宇宙服のようなもので覆われており
そこから覗く下半身は深海の生物を想わせるような突起物に覆われた形態となっています。
下半身はラメ塗装が施され、キラキラと輝く虹彩が不思議な美しさを感じさせます。
深い海の底を想わせるデティルに覆われた台座部分。
こちらの表面にもラメ塗装がされ、光の届かぬ深海で
静かに息づく生命を想像させる神秘的な台座となっています。
また、所々にアンモナイトや三葉虫のような古代の生物も配置され
時間が静止した世界において、太古の昔から遠い未来まで、
無限の広がりを感じさせる小宇宙が広がっています。
「宇虫」
深海がなくした記憶を、取り戻せますように。
結晶化した深海は、海星がまだ空にいた時なんかを思い出して
そのままずっとずっと、眠り続けて
きっときっと夢の中で、またひとつになれますように。
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