マンタム「畜骸曲舞団」
『 畜骸のなかのサーカス(circus in a carcass.) 』
それは道路の端の背の高い草に隠れていたり、澱んだ中州だらけの川べりのどこかに打ち捨てられた畜骸だった。
そ
い
つ
は
な
か
ば
廃
虚
の
よ
う
に
な
っ
た
千
切
れ
た
ト
タ
ン
壁
の
下
に
隠
れ
る
よ
う
に
転
が
っ
て
い
た
が
こ
こ
暫
く
続
い
て
い
た
ひ
り
つ
く
紫
外
線
の
せ
い
で
カ
ラ
カ
ラ
に
干
涸
び
赤
黒
い
皮
袋
の
よ
う
に
膨
れ
上
が
っ
て
い
た
なんだかお前はすっかり痩せこけちまって、剥き出しのあばらの中はすっからかんでさ、
もう蛆がたかることもできないくらいからっぽの抜け殻なんだよ。
で
も
そ
れ
だ
か
ら
そ
こ
で
サ
l
カ
ス
が
は
じ
ま
っ
た
の
さ
骨をすり潰して白粉にしよう。
赤や緑に干涸びた内臓はそのまま泥水で溶いて顔や唇に塗ろう。
あばらから糸屑のような神経がはみ出した脊椎にロープを張って色とりどりの万国旗をつるそう。
すっからかんの胃袋に水を張って飛び跳ねる羽虫に曲芸を覚えさせよう。
其れ故死骸は馬でなければならない。
足を折ったまま放置され朽ち果てた荷役のつまらない馬だ。
名前すらなかったから誰に呼ばれることもなくそのまま干涸びたのだ。
長い戦争がやっと終わってくだらない死骸になってはじめて近くの子供達が見つけたのだが
つまらなくてもう誰も見向きもしない。
月がたまに降りて来てその辺の瓦礫を照らしたが
それでもそのサーカスを見に来たわけではなかった。
誰
も
な
に
も
盗
ま
な
い
サーカスはガラスに熱がこびりつくような夜にたまにはじまるがそれに必要な観客はいつもいなかった。
それでもオレは顔を赤や緑に塗りたくって白くだんだらに塗られたステージに立つんだよ。
火を吹くような炎天の下で破れた傘を広げてわらわらとステップを踏もう
どうでもいいリズムで世界を見限ろう。
ど
こ
ま
で
も
広
が
る
砂
の
果
に
し
が
み
つ
い
て
い
る
く
だ
ら
な
い
時
間
を
た
と
え
よ
う
も
な
く
嘘
ば
か
り
つ
い
て
や
っ
と
や
り
す
ご
し
て
い
る
道
化
師
達
の
呪
縛
か
ら
逃
れ
る
為
に
でもなんのことはない
それは昨日までのオレとおまえだな。
マンタムのオブジェ作品「畜骸曲舞団」は現在開催中の個展
「記憶の残骸物とそれを照らす為の月」で展示販売中です。
購入ご希望の方は info@sipka.jp までお問い合せ下さい。

マンタム個展「記憶の残骸物とそれを照らす為の月」
2014年2月5日(水)~3月16日(日)
愛知県名古屋市中区大須二丁目14番地3号 エビスビル2F
※地下鉄大須観音駅 1.2番出口より徒歩5分
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